ベルリン出身の写真家の彼

新しい彼は、「ベルリンから始まり、シンガポール、オーストラリア、パリ、アメリカ、ロンドン」と居場所(仕事場)を点々とする。バックグラウンドは世界だ。いまはどの辺りだろうか。追いかけなければ、彼はどんどん先に行ってしまう。つい先月まで、開高健が心の友だったが、いい加減彼に別れを告げ、次へ急ぐ。今度は写真だ。映像であり、また芸術である。次の彼は異国人だから、会話が一苦労だ。いまだ相手も、私も様子見の状態である。だが会話のテーマが見つかった今日からはそんなにゆっくりもしていられない。前へと攻めなければならないのである。 彼はメルボルンを旅していた。そこが私たち二人の出発地点だ。

 

奥さまは了解済み。ちなみに奥さまも写真を撮る。夫婦きってのおしどり夫婦だ。夫婦の馴れ初めも聞きたい。メルボルンで彼はファション雑誌の仕事をしていた。写真を見せてもらうと、いわゆるモードな洋服に身を包んだモデルの、保守的な写真なのだ。彼の撮る写真からはかけ離れている。仕事を得るために、彼の好きな写真を撮るためには、彼はやらなければいけない。しかし彼は嫌々やっていたのだろうか。彼の腕は高く買われているようだ。仕事先は世界的なモードファション雑誌のヴォーグである。彼の本当の意味での才能は、ここで終わるはずもない。彼はどのようにして確立させようというのだろう。写真界屈指の才能を誇る彼が、世界の頂点となるまで。

 

私はその目撃者の一人となろう。

 

 この文章の雰囲気でいこうかな。月曜日はまた打ち合わせだ。