福田奈美

大きな壁を乗り越えられる人とそうでない人(3)

ノーマライゼーションの取り組みをしている企業とは】

 

私は、ある外資系企業で勤務するAさんから話を伺った。

 

 

『障害者に対する配慮がないの。みんな一緒。だからみんなが同じ環境で、ストレスがないような環境を作るような努力を会社側はしている』

  *みんな一緒、みんなが同じ環境がポイントである。

 

『特定の人に対する配慮っていうものは考えていないんだよね。あの人障害者なんだってわからない環境にある。だから見た目としてわからない。精神障害者って』

  *「障害者」としてカウントしない。あくまで「人」としてカウントしているという。 

 

 

そう、「障害のない人たちの中で、同じ生活や権利が保障されること」がノーマライゼーションなのである。イメージとしては、吸収され溶け込んでいる状態。

 

なぜこの企業では、それが可能なのだろうか。

クローズにするかオープンにするか、一般の企業だとオープンで入社した障害者はもうその時点で「障害者」とわかる。

 

 

クローズにしているわけじゃなく、オープンにしているんだけど、あの人そうなんだよっていうような環境じゃない。例えば、上司には伝えているけれど、他の人は知らない。自分が最初に、開示をどこまでするかって聞かれる。人によっては全く言わない人もいる。病気のことは開示しないで、本当に人事の人しか知らない。開示しない人は結構多いという。

 

このような話をすると、障害が軽い場合のこと、と思われがちだが、ノーマライゼーションの理念は、重度の障害を持っている人に対しても、入院などしないで地域で生活できるよう、さらに社会に出て働けるよう「脱施設化」として取り組むことである。

 

これが、社会福祉の理念となっていることだ。

 

このような企業をどう考えるだろうか。

 私はこの話を聞いて、目からウロコだった。