福田奈美

大きな壁を乗り越えられる人とそうでない人(4)

 

精神障害発達障害のハイレベルな労働力競争】

 

 外資系企業の合理的な面がすべて良いものなのか。それはわからない。日本は、向上心の強さ、仲間意識の強さ、それから伝統を守る心。それらがすばらしい成果を生み出し、世界をとどろかす力を持っていた。しかし、時代も変わり今までのやり方では適合しなくなってきた昨今、日本も変わろうとしている。欧米の力が揺るぎないものとされ、日本も欧米の考え方を取り入れて、変わらなければと、世の中が動き出している。平成も終わり、オリンピックイヤーとされる月日もあと一年。日本はどんな姿を見せるのだろう。そんな日本の社会で、私たち障害者は、どんな姿をして、立っていればいいのだろうか。

 

 1年、いや10年先、自分たちが何をしているか、何をしたいか、考えたことはあるだろうか。1年先なら考えられることでも、10年先のことは、意外と考えられずにいたりする。10年先の自分を明確に捉えることで、生き方がまた変わってくるだろう。ぜひ10年後の目標を考えてほしい。なりたい自分とやりたいことを想像してほしい。ちょうど今、働き方も変わろうとしている。

 

 精神障害者発達障害者の労働は、今後ハイレベルな労働力となるのではないか。企業も、即戦力を必要としている。経験のない新卒社員より、実務や技術の面で経験の多い精神障害者発達障害者で資格や技術を持った人材は、企業が必要としていることだろう。障害者の雇用が増えていく中で、いま以上に就労を目指す特化した障害者は増えていくことと思う。

 

 それはさらに、競争となって、社内でのみならず、対企業としてもレベルアップしていくのではないだろうか。専門的な分野に長けている人もいれば、資格や経験を持った人もいるだろう。いますでに知識のみでなく、ましてや年齢などで判断されない障害者たちが就労した後も企業で高い評価を得るために凌ぎを削っている。だからと言って、急げばいいものでもない。そこで、自分の障害と、強みはなんだったのか。もう一度思い出し、可能であれば、就労にチャレンジしてほしい。

 

 いまこそ、先にいる自分の世界を、考える頃ではないだろうか。