福田奈美

障害者が果たすべき役割とは

ノーマライゼーションという言葉が広まったのは、日本ではここ最近なのではないだろうか。1950年代にデンマークのバンク・ミルケルセンによる、知的障害者の家族会の施設改善運動から生まれた理念である。

 

障害を持っていても、施設に収容して隔離するのではなく、地域社会で普通の暮らしを実現する脱施設化など、障害のない人と一緒に暮らすのが当然であり、そうするべきという社会福祉の基本理念となった。以前からあった言葉だが、この数年で、日本でもノーマライゼーションという言葉だけでも認知されつつある。

 

法の基本理念として存在する。「ノーマライゼーションとは、障害者が他の一般市民と同様に社会の一員として種々の分野の活動に参加することができるようにしていこうとする理念」とし、「障害者である労働者は、経済社会を構成する労働者の一員として、職業生活においてその能力を発揮する機会を確保される(平成24年厚生労働省障害者雇用対策について』)」

 

 この理念が日本にもある限り、福祉社会にいる障害者も、一般社会での就労が可能になる。しかし、そのためには障害者も、一般社会で働くための意欲、知識や障害者の潜在能力も必要となる。それらが日本のノーマライゼーションとして障害者総合支援法のために、一般社会で働く私たちが障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現させる大切な法律である。

 

 発達障害者、精神障害者にとって、一般社会からの隔離はあってはならない。福祉社会にいる人が、一般社会の中で生活するためには社会的援助を受ける必要性があり、「経済社会を構成する労働者の一員として種々の分野に参加することができる」という基本的理念があり、何よりも「障害者自身の職業的自立に向けた努力が重要」(「障害者雇用対策について」平成24年厚生労働省)である。

 

私たちが必要としているのは、正当な権利と平等な評価、それに付随する賃金である。それらを得るためになくてはならないのは、支援制度である。しかし、そのためには、私たち障害者もモチベーションをアップさせなければならない。障害者が果たすべき役割を、私たちは理解し、持ち続けなければならないのである。まず、日常生活、社会生活を営むことができること。そして役割とは、一般社会の中で貢献できることなのであり、貢献とは世の中の役に立つことである。