福田奈美

大きな壁を乗り越えられる人とそうでない人(2)

【私たち障害者と社会の関わり】

 

ダイバーシティに関しては、だいぶ定着している企業が増えています。とはいえ、実際どれだけの企業が、人材を、どのように、活用しているのでしょうか。ダイバーシティ経営とは、社会貢献であったり福祉のため、というものではなく、多様な人材を活用することにより、社会を活性化させるべきものなのです。

 

「障害者を戦力として活用する」ことを何より企業は考えなければならないのです。

われわれ障害者はそのために、多くのことを学んでいるのだから。

精神障害者は「福祉」のために社会に存在しているわけではないのです。

ましてや精神障害者は、企業の法定雇用率のための”数合わせ”であってはならないのです。

 

 

平成30年8月に、中央省庁や地方公共団体が水増ししていたことがわかりました。

この問題が障害者にとって「何かしら直接的に」影響を及ぼすことはないとしても、これに対し、民間企業の行なっているコンプライアンスが大きな問題となるのではないでしょうか。つまり、この背景に、法定雇用率、障害者雇用納付金、精神障害者雇用義務化などといった波が、大企業ではなく中小企業へ歪みがいってしまう、だから障害者を雇うことを躊躇する、というのが現実です。

やはり、このような問題は、日本の政策そのものに、改善を必要としているのではないでしょうか。

ノーマライゼーションに関してはまた先に書こうと思います。

 

 

仕事と生活の相乗効果をあげる、ワークライフバランスという言葉があります。

プライベートを充実させ、仕事共に、より活気づいた生活を送るべきというものですが、これからの日本の社会にもっとも必要とする働き方になると思います。障害者雇用と密接しているのは、柔軟性や多様性を必要とする日本の社会の在り方なのです。

つまり、年々精神障害者の雇用の割合が高まっているということは、それだけ能力も仕事に対する向上心も高い人材が増えているということであり、障害のない人たちと同等、もしくはそれ以上の経験や知識のある人材が多様に存在していることになります。

 

 こういった時代の背景の中にいる私たち精神障害者は、誰もが社会を担う貴重な人材と言えます。だから、

「日本の社会を変えるのは、柔軟性、多様性のある私たち障害者といっても過言ではないでしょう」と私は考えるのです。